試験方法

本試験では、水平震動台を使用し、台座上に設置したピアノに対して地震動を想定した震動を加え、ピアノの挙動を目視で観察すると同時に、主要部分の加速度及び変位を想定した。

図のように、水平震動台上に取り付けられた壁相当材から50mmはなれた位置に台座(供試体)を使用してピアノを設置した。
その後、以下に示す震動試験を行った。

(1)地震波による振動試験
入力地震波を宮城県沖地震波とする加振を行った。このときの目標最大入力加速度は400gal(試験記号;EW,NS-400)とした。なお、試験記号のうちEW及びNSは地震波の方向成分を表す。
また、加速度及び変位の測定は、次の各点について行った。
①水平振動台の入力加速度(AG1)
②ピアノ重心位置の応答加速度(AG2、AG3)
③水平振動台の水平方向変位(DG1)

(2)スイーブ試験
(1)の試験終了後、正常波によるスイーブ試験を行った。このときの目標入力加速度を600galとし、加速振動範囲を6~1.5Hzとした。また、加振時間は60秒とした。
また、加速度及び変位の測定は、(1)と同様にして行った。

供試体番号供試体の形状、寸法台座の材質台座の使用個数
No.1ラワン合板
No.2合成ゴム(補強鉄板厚さ3.2入り)
No.3化粧合板+天然ゴム
No.4合成ゴム 強度80Hs
No.5プラスチック

地震波による振動試験結果

供試体試験番号水平振動台の
最大入力加速度
AG1(gal)
ピアノ重心位置の
最大応答加速度
AG2,3(gal)
目視観察の結果
EW-400407AG=1042
AG=1470
・ピアノが台座からはずれて約15cm移動
NS-400429970
2909
・ピアノが台座からはずれて約15cm移動
・ピアノがロッキングして壁相当材をたたく
EW-4004342198
1877
・ピアノのロッキング
・ピアノが台座ごと約3cm移動
NS-4004292340
2737
・ピアノがロッキングして壁相当材をたたく
・ピアノが台座ごと約2cm移動
EW-4004232882
3284
・ピアノがロッキングして壁相当材をたたく
・ピアノが台座ごと約3cm移動
NS-4004071926
2346
・ピアノがロッキングして壁相当材をたたく
・ピアノが台座ごと約2cm移動
EW-4004292997
3597
・ピアノがロッキングして壁相当材をたたく
・ピアノが台座ごと約2cm移動
NS-4003973040
3644
・ピアノがロッキングして壁相当材をたたく
・ピアノが台座ごと約1cm移動
EW-400461428
485
・ピアノがロッキングして壁相当材をたたく
・ピアノが台座ごと約35cm移動
NS-400407499
532
・ピアノがロッキングして壁相当材をたたく
・ピアノが台座ごと約30cm移動

スイーブ試験結果

供試体番号試験番号水平振動台の加振条件ピアノ重心位置の
最大応用加速度
AG2,3(gal)
目視観察の結果
水平振動台の
最大入力加速度
AG1(gal)
振動数範囲
f(Hz)
S-600622AG=1042
AG=1470
AG2=1199(f=1.5Hz)
AG3=845(f=2.6Hz)
・ピアノが台座からはずれて約105cm移動
605970
2909
3111
2236
・ピアノが台座ごと約15cm移動
・ピアノがロッキングして壁相当材をたたく
6052198
1877
1142
1939
・ピアノがロッキングして壁相当材をたたく
・ピアノが台座からはずれて約80cm移動
6052340
2737
3111
3597
・ピアノがロッキングして壁相当材をたたく
・ピアノの前板のはずれ
・ピアノの移動なし
6322882
3284
1042
782
・ピアノが台座ごと滑って約148cm移動